ふかふかの夜に。

本業はフリーランスのフォトグラファー。ここを日記のように使っています。誰かに見せたいものじゃなくて、自分が忘れたくない気持ちを置いとくところ。たまに写真や仕事のこと。

雨が降る前に

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7月17日金曜日。

鳥も蝉も鳴きだす前の暗い時間、

夜明けを撮りに出かけた。

梅雨の真っ只中の4:58am、

その瞬間だけ雲の向こうから晴れ間が見えて

また雨が降り出した。

そのまま早朝の川沿いをさんぽしながら、

朝と山の空気は似てると思った。

何かがわかりそうでわからない朝だったから、

わからないままとっておこうと

踵を返し、もときた道をもどって、

かわりに、足元の草を撮った。


しずかな風のなか、立ち止まり

目の前を眺める時間、明日に持ち越す選択

何の思い出もない河川敷を歩きながら

少し風が冷たくてくしゃみが出た。

 

虫は道で潰れ、柵は少し曲がってた。

この世界はやっぱり美しすぎて、

だから嫌なんだよーとひとりごとを言いながら

切らないといけないシャッターを切った。

そうやって生きてる。


色んなことがなんか良いな、と思って

帰りはガストでモーニングをした。

そのあとは、午前と午後にひとつずつ

打ち合わせをした。

 

7月16日の日記、わすれちゃいけないぞと思った

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日々溜まるキャッシュ、

それを消すためのただ日々の記録。

..

7月16日、木曜日。終日モデル撮影。

少し、大変な日になりそうだったから

幼馴染にアシスタントをお願いした。


打合せ時にデザイナーさんが見せてくれたラフには

私の自宅とそっくりなベッドが描かれていたので、

午前中は自宅で撮影(!)、その後は屋外、

午後からはスタジオに移動して撮った。


スタジオはそうゆう場所なわけだけど、

生活空間にたくさんの仕事のひとが訪ねて来るのは

初めてで不安だったけど案外別段なんともなくて、

スタジオと家、近くてラッキーだったな、

と思った。


この日はたくさん撮った。

撮影後、へにゃへにゃに疲れ果ててしまい

片付けもせぬまま幼馴染とふたり、とほとほと

タグボート大正」に歩いて行き、

川沿いで彼女はスパークリングワインを

私はビールを飲んで、

色んな料理を分け合って食べた。

仕事や恋愛の話をした。


幼馴染は、撮影に立ち合った人たちのことを

「みんなめちゃくちゃ良い人たち」

みたいに言ったと思うんだけど、

なんだかそれが当たり前のように

なってたことに気がついて

わすれちゃいけないぞ、

その通りだ、と強く思った。

 

日々おいかける景色のとちゅうにそっと置かれてる感じ。

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7月15日、水曜日。

とあるサイトの撮影をした。

フィルムでやりたいですとお願いをして、

そうやってさせてもらってる。

好きなふうにと言われて、立ち合いもなく

一人きりで撮りに出かけた。

こんなことを1年前の私は想像しただろうか?


長いこと夢だったのだ、フィルムで仕事をすること

作品と仕事が繋がっていく未来は、

来るのか来ないのかわからなかった。

それは途方もないことのように思えたし、

迎えにいくための正規ルートもきっとない。

でも多分だけどすこしずつ機会がふえてきてる。

いろんな人から、いろんな方法で。

ただそのことに驚いてる。


夢や憧れが叶う時はいつもとても静かで、

そのことに構う余裕もないような忙しさの渦中に

一粒の光がキラッと投げ込まれる。

さいしょ忘れてて気づきもしないものだから

あとからはっとする。

これ、欲しかったやつじゃないかなってわかる。


夢は、音もなくさり気なく叶っていくものだって、

それは、すごいことだ、すごいことだ。


日々おいかける景色のとちゅうに

ただそっと置かれてる感じ。

大きな木を抱きしめて新鮮な匂いを吸い込んだ。

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7月、11日土曜日から13日月曜日の三日間、

出張で青森県へ行った。


出発の日は空港に早く着き、発つ前に

Northshoreで大きなサンドイッチを食べた。

曇り空だった。


取材先は遠く、夕方到着したものだから

その日は前打ち上げと称して

烏賊やせんべい汁を食べて解散。

翌日は「きみがらスリッパ」を取材。


三日目はプライベート。せっかくだからと

クライアントさんと連れ立って

十和田湖に行き、カヌーに乗った。

朝、なめらかに揺れる柔らかい水面は

エメラルドグリーンに透き通っていた。

ずっとぷかぷか揺られているも良し、

とちゅう、漕ぎ出せば自分のペースで

好きなふうに好きなほうへ向かえることを知り

登山と似てるな、と思った。

ということは、ハマるな、とすぐにわかった。

私にはたぶん、

「どこまでも行ける予感」が大切で

「せかされないという大前提」が必要。


みずうみ、青い森。

大きな木を抱きしめ、

新鮮な匂いを吸い込んだ。

七月六日、外は土砂降りの雨で、詩人の話をした

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もう、7月も11日まで来た。今日は日曜日。

昨日から出張で青森の八戸に来てる。

すごく雨が降っていて、朝から警報が出てしまってる


ここのところの私は特別な七日間を過ごしてしまい

すっかりこの場所に来なくなってたけれど、

ここに日記をつけ始めようと決めた日から

一年が過ぎたと気づいて、

なんだか大切なものがひとつふえたような気がした。

だから、やめないで、時々でも

ひとつずつ書き残していきたい日々の記憶。

一年前も出張先のホテルの窓から

夜景を眺めてた、ふかふかの夜だった。今夜も。

https://suyasuyachang.hatenablog.com/entry/2019/07/02/032945

 

最近の備忘録。

..


7月6日、月曜日。

早朝にホテルをチェックアウトしてから

料理研究家奥地さんのアトリエで料理の撮影。


奥地さんの場所には磯野さんという方がいて

この人達の恋人か兄弟のような空気感が好きで、

仕事中、めのまえのふたりを眺めるだけで

いつも嬉しくて楽しい気分になる。

奥地さんは少年のようで詩人のよう。

磯野さんは美味しいものと本と詩と珈琲が好き。

私は2人の空気感が好き。

この日は土砂降りの雨だった。


お昼は奥地さんが色んな出汁の素麺を、

磯野さんが豚肉とパクチーのおにぎりを

作ってくれた。ものすごく美味しかった

 

撮影後、口数の多くない磯野さんが私に

御徒町凧さんが好きなんですか、と

声をかけてくれた。好きも何も、

私が大阪に「夜な夜な書店」を作ったのは、

15年も前に、東京で彼の詩の朗読会に

行ったことがきっかけだし、いつも、

御徒町さんの詩のような写真が撮りたい

と願ってるものだから、驚いてしまった。

白くて、一見変哲のない、純度の話。

おしつけがましくないことに泣きそうになる。


磯野さんは自粛期間中にすっかりと

その人の詩にはまってしまったらしく、

スケッチブックを買って書き写してる、と教えてくれた。

磯野さんとは、もしかするときっとこの先、

仲良くなれるのかもしれない。

ならないかもしれない。

どっちもいいけど今日は素敵だな、

と思いながらその日は仕事らしく

スマートにさよならした。

 

元気な日もそうじゃない日も

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7月2日、木曜日。

南堀江のBRIGEWORKSさんにて家具の撮影。

じつは店内に、そっと私の写真を飾ってくれていて

嬉しい。


この日は気分が落ちてた。

普段と変わらず振る舞えてると思うけど

注意力散漫になって忘れ物もしたし、

申し訳ないなあと、また落ち込んだ。

スタジオに戻る道すがら、

ぼやけた月を見上げながら無意識に

マクドナルドに寄ってはっとした。

ストレスや疲れが溜まったら

ファストフードとかお菓子が食べたくなるの

なんなんだろうなぁ、と

くさくさした気分でフライドポテトを

むしゃむしゃ食べた。へろへろだ。

 

溜まってたフィルムを現像したら、

いつかスタジオに来てたアーティストヒロセさんの

写真が出てきて、いい写真だな、とおもった。

腕の中で犬のムーさんが眠ってた。


..

7月3日、金曜日。

Table a cloth(http://tableacloth.com/top)の

岡田なほこさんと、天満のHotel noum のカフェで

モーニング。(https://www.no-um.jp/cafe/)

 

小1時間、近況を報告しあったあと

また会おう、とさよならしてお互い仕事へ。

彼女とは時々、思い出したように

朝早くからモーニングに行くのだけど、

とても楽しいし、会うと元気が出る。


そのあしで現場へ。昼過ぎまで撮影をして、

そのあとは、めちゃくちゃのんびり

ひとりでお昼を食べて、

スタジオで少しだけ仕事をした。

 

夜、ひとりきりのスタジオで、

ここのところ忙しくしてたから

写真とりすぎて疲れちゃったのかな、

なんて思いながらめそめそしてたら

間接照明に浮かぶ葉の影がきれいで、

思わずフィルムカメラを手に取って写真撮って

ハッとして、ちょっと、笑ってしまった。

 

嬉しくてもかなしくても写真をアウトプットにして

救われてたのだ。

写真という幸福な仕事に溺れる覚悟を決めたのだ。

泣きながら笑いながら怒りながら撮ってきた。

 

夜中、気持ちが前にすすまない旨を伝えると、

じつは最近まで入院してた「仲なおりの人」が

プリンを届けてくれようとしたからさすがに断って

ひとりでぶどうのアイスを食べながら寝た。

 

 

 

サンドイッチを食べながら、

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原因があるなら取り除きたくて

今の気持ちをテーブルの上に並べようとするけど

心当たりがあるようでただの気分のようで

よくわからないでいる。


数日前から、落ち込んでざわざわしてる。

気分の浮き沈みはつよいほうだから、

驚かないけどやっぱり慣れないなぁ。

..

7月1日、水曜日。

仕事が少し落ち着いて、止まってた

「プライベートワーク」にまた着工していきたい。


撮影がない日だったから、

「Sandwich Table」というプロジェクトを

ご一緒してるスタイリストさんと一緒に

デザイナーさんの事務所にお邪魔して、

サンドイッチを食べながら、

これから3人で作っていくSandwich Tableの

本の装丁やレイアウト、そして、

展覧会の打ち合わせをした。


穏やかな風が通り抜ける高台のその部屋は、

白くて優しくて居心地が良くて、

デザイナーさんにとても似合ってた。


こんな写真集をつくりたい、と言ったら

すぐに、まるでパンみたいなフランスの紙を

いくつも持ってきてくれて

ものすごく素敵な佇まいの本になることが

もう、わかった。


スタイリストさんが持ってきてくれた

たっぷりのサンドイッチを食べ珈琲を飲み、

お互いの近況の話をして、写真を撮った。


なんだかすっかり幸せで満たされてしまって、

帰りは写真屋に寄ってその日撮った写真の

フィルムを現像に出し、買い物をして

事務所に戻った。

ほんの少しだけ仕事をして、

久しぶりに、だらだらと過ごして帰宅した。


スピード感のまるでない、

とても穏やかな水曜日だった。