ふかふかの夜に。

本業はフリーランスのフォトグラファー。ここを日記のように使っています。誰かに見せたいものじゃなくて、自分が忘れたくない気持ちを置いとくところ。たまに写真や仕事のこと。

私は私の六月に満足してる

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7月が来た。あたらしい気持ち。

少し、驚いたことがある。


独身で一人暮らしでフリーランスの私は

これまでずっと時間管理がおろそかで、

帰宅が深夜になったり

食事がお菓子になるのが悩みだった。

だから、6月1日から1ヶ月間、

「5時台に起きて7時台に出勤して、

19時台には帰って23時には寝る」と

なんとなくの理想を謳って

日々のタイムカードをつけた。

勤務時間は長いけど、とりあえずそこは

気にしないことにしてみた。近く、おいおい。


そうすると、素敵な結果になった。

ひと月の間に帰社が21時を越えたのは2度だけ、

いちばん遅い日で22時。

15時に切り上げた日すらある。

それって私にとって、そして

フォトグラファーという職業にとって、

けっこうすごいことだと思う。


6月の仕事が暇だったのかと問われれば

とても忙しくて、28案件、撮影をした。

それはそれで尋常でなく多い。たぶん。


夜にお酒を飲まなくなって、

5時前に目が覚めるようになった。

食生活もほんの少し整って体調が良くなった。

土日も前より休めるようになった。

会社員時代より規則正しくなった。

朝型が、私にはとても合ってた。


ひと月の読書量もふえたし、

六月は美術館やギャラリーにいくつも行った。

日々の余白を自ら作ることができる感覚は、

なんだか憧れが叶っていく感覚と似てる。

とても静かでとても確かで、気づかぬうちに。

暮らしはちょっとしたことで整うし

ちょっとしたことで崩れる。


私は私の六月にとても満足している。

富山へ向かう車中の日記

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金沢行きのサンダーバードに乗ってる。

目的地は富山。


数年前から、月1の連載で48都道府県の

伝統工芸や名産を巡る撮影をさせてもらってる。

今回はガラス工芸を取材へ。


毎度弾丸ではあるものの、

「時間単位」でも「年単位」でも

ひとところにとどまるのが苦手な私には

移動の機会を仕事で与えてもらえる事がありがたい

国を越えていけたら、もっと素敵なんだけどな。

 

ここのところ少し気持ちがざわついてる。

仕事の多忙とプライベートでの出来事、それに

ここに日記を残す習慣がなくなってたからかなと、

サンダーバードに乗り込む前に

駅のデリカフェでアイスカフェラテを飲みながら考えた。


6月も半ばをすぎ、気づくと24日。

誕生日の日に抱えきれないほどだった花束は

ひらひらと花びらを落とし、今小さく2輪咲いてる。

「これは、これで、むしろこうゆうほうが好きだな」

なんて思いながら茎を短く切って

花瓶からグラスに引っ越して、

出張から戻るまで達者でいておくれよ、と

声をかけながら出かけてきた。


出がけにポストを覗くと、幼なじみから

お祝いにと本が届いてた。

最高な選書だったからニヤリとしてしまって

お礼に、富山で素敵なガラスを探そう、

と思ってまだ返事をせずにいる。

 

すべてはとても私の暮らしに反映されていく

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ある日、はてなブログのアプリをひらくと

いつのまにかログアウトしてて、

私も受動的なものだから

「ああ、そうか」と疑問も持たずに

その画面を閉じ、暮らしの片隅に寄せてた。


2週間も経つと

ふにゃふにゃと記録をつけたくなって、

またあの人のブログよみたいな、と思って

パスワード打ち込んでここにいる。


ここのところは忙しくしてた。

6月は毎日写真を撮る機会に恵まれて、

カレンダーを振り返ると一年前の今よりも

色んな人と色んな仕事をさせてもらっていて

あらためて、よかったな、と思う。

屋根の下、暮らすことができてる。

雨の音をききながら、そんな風におもえてる。

ここにいていいんだと少し感じる。


日々の細々を書くには時間が空きすぎたけど、

この2週間ほどは、はたらき、眠り、

梅雨が始まって、35歳の誕生日を迎えた。


その夜は大切な人と優しい対話のテーブルにつき

食事をして、

少しひしゃげた器量のいいケーキを食べた。

いまも、星くずがちりばめられたような時間を

過ごしてる。


1人で遠くに行きたいといつも思っていたけど、

それが自分の変わらない軸だと思ってたけど、

人生って楽しいね、とひそひそ声でささやきながら

この世界の小さな片隅を今とても広く感じてる。

そのことに驚いていて、泣きそうになってる。


昨日は久しぶりに、

コーヒーに砂糖とミルクを入れた。

 

自分の弱さや強さに応じて

人は世界にいろいろな反応を見せるのなら、

今の私は臆病者のままだけど

七年前よりは強くなった。

もう、同じことを繰り返さないぞと襟を正す。

泡のように過ぎてしまいそうな日々の記録

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今年の6月は去年より忙しくなった。

泡のように過ぎてしまいそうな日々の記録。

..
6月8日、月曜日

スタイリストの友人と撮影。

個人的な作品づくりでクライアントもいないから

すっかり休日気分で、缶ビール片手に

カメラとパソコンを持ってご自宅へ伺った。

何度も撮影をかさねたのでストックが溜まり、

写真は10月ごろに本になる予定。たのしみだな。

..
6/9火曜日

撮影や打合せがいくつかかさなり、

ひっちゃかめっちゃかな気分の日。

ひとつずつ、たちどまり、深呼吸。

最近、スタジオの植物たちから出てくる

新芽の勢いがすごい。

..
6/10水曜日

午後から料理撮影。

撮影中に雨が降り出した。梅雨入りしたのだそう。

撮影後、コーヒーを淹れてもらって

カステラを食べた。

..

6/11木曜日

スタジオで化粧品の立ち合い撮影。

夕方前に終わって片付けや納品をし、

その後、翌日の葉山での撮影に向けて

夜から横浜に前のり。…なんだけど


さいきん頻繁に会ってる「7年越しの人」が

夕方スタジオまで来て私を車に乗せ、

とちゅう淀屋橋で夕食を一緒して、

20時の発車時間に間に合うように

新幹線の駅に送ってくれた。

駅に向かう道中、運転席に向かって

5月の終わりに、手紙でもってあなたから

6月14日の夕食の誘いを受けたわけだけど、

私はその日を待ちわびる覚悟でいたのに

花火、蛍、今夜の見送りと、再会から

3週間弱の間に5度も顔を合わせてるのは

知ってるかと問うと、


「これ言ったらその顔で笑うんだろうな」と

私が想像してたまんまの顔で笑って

「それちょっと気づいてた」と言った。


しつこいようだけど、再会後、ふれるどころか

名前すら一度も呼ばれてなくて

どう受け取ったら良いのか半信半疑だけど

それはもう最高に険悪な終わり方の七年前

だったから、文字通りの仲なおりが

出来ただけで御の字ともやっぱり思う。


あわよくば、と思うのもなんか勿体ない。

「無理やり機会をつくろうとして虚しくなる」

とか「誰かのとるにたらない時間を、

自分の世界の中心に持ってこようとしてた時間の

痛み」みたいな類のものは、

もう懲り懲りな今だから、

今これで良いのだと本心で思う。


20時過ぎの新幹線でいつのまにか眠りこけて

新横浜まで運ばれ、

みょうに座り心地のいいタクシーに乗って

ホテルまで運び込まれた。

浴槽につかり、眠った。


..

6月12日、金曜日。

今日はこれから、夕方まで撮影して帰阪する。

優しい雨がふってる。

 

 

六月の蛍

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週末の備忘録。


6/6の土曜日は、

ひとりでスタジオで仕事をした。

書類をつくり、撮影をして、納品をした。

途中なんだか泣けてきて「こりゃあ、いかん」と

夕方早々に撤収し、ビールを飲んで、

コロッケを食べて、懐かしい本を読んだ。

たぶん少し疲れてた。

今月は26日まで撮影でぎっちり埋まった。


やすみやすみ、暮らそう。

 

..

6/7の日曜日

幼なじみと、4歳の坊やと3人で湖までドライブ。

ものすごい晴れ方をした空を見ていると

昨日泣いてたことが嘘のように感じて、

「遠くへ来るって大事だな」と考えながら

水辺でイチャつく母子の写真を沢山撮った。

風が吹いてて日差しが強い日だった。

幼なじみの彼女は、ものすごく美味しいお弁当を

3人分作ってきてくれていて、

今日って幸せだなって思った。


帰り、焼き立てのカステラを買い

程よく疲れて帰阪すると、

むかし私のせいで最悪な別れ方をし、

先月、7年ぶりに仲なおりのために再会した人から

「疲れてなければ、」とドライブの誘いが届き、

夜な夜な蛍をみに連れて行ってくれた。

 

すっかりと惚れ直してしまってる私は

(蛍なんかみれてもみれなくても、

そんなことはもうどうでもいい。)

と思いながら助手席に座ってたものの、

車を降りるとその場所からみえる星の数より

たくさんのホタルが

ふかふかの草の上で明滅していた。

 

とちゅう、桜の木の下、2匹のホタルが

頭上まで飛んできてくるくるまわり、

葉の上で休んでいった。

帰りは車道沿いの一蘭でラーメンを食べて

近くの公園まで送り届けられた。

 

再会以来、何度か会ってるものの、

いつも近くの公園で待ち合わせ、

すこし出かけて同じ場所に送り届けられ、

帰るね、と帰って行く。

一度もふれず、名前も一度も呼ばれることなく、

ただどこかに数時間、連れ出してくれる。

 

まるで夜明け前のような不思議な六月。

 

ここにいる、という気持ち

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6月5日、金曜日。

朝、出勤してからスタジオの掃除を始めた。

昨日の撮影でつかった家具や機材の

配置を元に戻し、テーブルや椅子を拭いて

掃除機をかけた。

家の床はルンバにお任せしてるけど、

スタジオのそれはコンクリートだから、

本体も音も大きな、業務用の掃除機を使ってる。

スケジュールに急ぐ必要がなかったから

丁寧にかけた。しみじみと、幸せを感じる時間。


ことしばらく前から緊張してた撮影が

ちゃんとしたようすで終わって、翌日の朝、

胸をなでおろしながら掃除してる時、

ぶじに終わってほんとうによかったな、

喜んでもらえたかな、

あの写真は私もすごく気に入ったな、

なんて考えながら居場所を整えていると、

自分がちゃんとここに居ていいような気がして

次もがんばろう、と思える。

自分がちゃんとここに居ていいような感覚、

私はそれをいつもとても必要としてる。


今日の掃除のように、こまごまと

何かに一人で没頭してる時は、

ミヒャエルエンデの「モモ」に出てくる

道路掃除婦のベッポじいさんの言葉を思い出す。

..

「なあ、モモ」と、

ベッポはたとえばこんなふうにはじめます。

「とっても長い道路をうけもつことがあるんだ。

おそろしくて、これじゃとてもやりきれない。

こう思ってしまう。」

「そこで、せかせかと働きだす。

どんどんスピードを上げていく。

ときどき目をあげて見るんだが、

いつ見てものこりの道路はちーとも

へっていない。

だからもっとすごいいきおいで働きまくる。

心配でたまらないんだ。そしてしまいには

息がきれて動けなくなってしまう。

道路はまだ残っているのにな。

こういうやり方はいかんのだ。」

「一度に道路ぜんぶのことを考えてはいかん。

わかるかな?つぎの一歩のことだけ、

つぎのひと呼吸のことだけ、

つぎのひと掃きのことだけを考えるんだ。

いつもただつぎのことだけをな。」

「するとたのしくなってくる。

これがだいじなんだ。

たのしければ仕事がうまくはかどる。

こういうふうにやらなきゃあだめなんだ。」

「ひょっと気がついた時には、

一歩一歩すすんできた道路がぜんぶおわっとる。

どうやってやりとげたかはじぶんでもわからんし

息もきれてない。」


「これがだいじなんだ。」

...

小学生の頃、なんということか、

私は色んなことを踏ん張ろうとしすぎてしまい

拒食症で入院してた時期があったんだけど、

当時の担任の先生が「モモ」を持ってきてくれて

何度も何度もよみかえした。

大人になってもおりにふれて読み返し、

いちばん大切な本のひとつになった。


ベッポじいさんの言ってたようにしか、

先へはすすんでいけないって、今ならわかる。


午後からは、とても楽しみな撮影が控えてる。

終わりは少し遅くなりそうだけど

今日もつぎのひと呼吸のことを考えて、

静かでまんまるな気持ちで過ごせますように◯

 

 

 

夕方のサイダー。

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6月4日、もくようび。

朝からスタジオでモデル撮影。

立ち合いの人数が多いことに怖気づいてしまい、

友人にアシスタントをお願いしておいた。

 

8時前に自宅に来てもらって、

小道具につかう椅子を2脚、えっちらおっちら

2人スタジオまで歩いて運んだ。

朝から暑い日だった。


さいきん色んなことに恵まれすぎていて

当たり前に享受していたけれど、

スタッフ一同、とても優しい人たちばかりで

撮影は朗らかに進み、16時ごろ終了。

 

スタジオを片付けて、

アシスタントしてくれた友人と一緒に

休憩がてら「ダイヤメゾン」に行って

サイダーを飲んで豆花を食べた。

その店には猫ちゃんがいて、おそるおそる

お腹を撫でさせてもらった。おそる、おそる。

猫、ちょっとこわいけど、かわいい。


最近「星の王子さま」がもう一度読みたくなって

Amazonでたのんでしまった。

今だからなのか、

何でもない場面が参ってしまうほど琴線にふれて、

何度も涙目になった。


今日、サイダーを飲みながら友達に指摘されて

初めて気づいたのだけど、

わたしもうすぐ35歳になってしまう。

ほぼ2週間のカウントダウン。おそろしい。

だけど、それにしても、

誕生日おぼえててもらえてうれしいな。