ふかふかの夜に。

本業はフリーランスのフォトグラファー。ここを日記のように使っています。誰かに見せたいものじゃなくて、自分が忘れたくない気持ちを置いとくところ。たまに写真や仕事のこと。

等身大をくりかえすこと

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寒かった木曜日、3月5日。

撮影で、イラストレーター、

フェルト作家のトヨクラタケルさんと

ご一緒させていただいた。

この方の作品は、アートに明るくないわたしでも

広告や本の装丁で作品を目にしていたから、

「トヨクラさんにお願いしました」

と聞いたとき、うわー、会えちゃう?わー、

と、少しミーハーにそう思った。

だけど撮影前に、webで公開されていた

noteを読んだら、はっとして

おもわず10回の連載を一気呵成に読んでしまった

 

作品で賞をとったり広告に携わりながらも、

思うところがありアップリケのブランドを

ひとりで立ち上げていった思いや行程が、

当時の気持ちを控えめにまじえながら

記録されていた。それは備忘録のようで、

これからそこに向かう人たちに向けた

親切な教科書のようで。

おどろいたのは、

「遠くに感じるひとでも、

なんて、等身大の繰り返しなんだ」。


文章から滲み出るのは穏やかな人柄だけど、 

勝負感をもって、いつも機会を掴みに出かけ、

時々ちゃんと、落ち込んで。

時系列に淡々と結果をだしていく物語は

素敵だった。

(渦中ではけして淡々としてなかったにせよ)

つくることも、それを物流にのせることも、

ひとつひとつ、シンプルに繰り返していた。

 

連載のさいごは

「丁寧にこれからもしっかりとものづくり

すること。あとは誠実でいること。

それをモットーにこれからもものづくりを

していこうと思います。」と

しめくくられていた。

 

この人に会えるんだ、嬉しい。と、

ミーハーな気持ち抜きでおもった。

 

作家として作品で賞をとった、展覧会をした、

だからとて

それで世間に必要とされるわけではないんだ、

だけど、イラストレーターとして広告にのった、

装丁をした、それで好きな作品だけを作れる

わけでもないのかもしれない。

 

好きなものだけを作って

わかって欲しい、見つけてくれ、与えてくれと、

口を開けて待ってるだけじゃダメなのだ。

それじゃただの自己顕示欲で、

そんな気持ちは苦しいだけで、楽しくもない。

土俵はちがいすぎるものの、じっさい、

「人の為に、私ができることを頑張りたい」

という気持ちは前にすすむ力がとてもつよいと、

恥ずかしいけど、私は、最近やっと、気づいた。

 

目の前の人を喜ばせたいと願って動くことは

自分が、自分が、という考えとか、

焦りや負の気持ちから離れていって自分自身

とてもストレスが減ってきた、と

最近そのことをすごく感じる。

 

話がそれてしまったけれど、

スタジオに来られたご本人はとてもやさしくて

撮影も面白かった。

作品の微調整をする手を

カメラの前でしゃがんで眺めながら

この光景が良いな、と思った。

 

終わった後はあたたかいお茶を飲んで

デザイナーさんが差し入れてくれた

もみじまんじゅうを食べた。

noteよみました、と伝えたら

あんなに長いの、なんて笑ってくださって

「うわー、あらためて、私も、

何もかもに言い訳しないぞ」と思った。

 

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